親不知の抜歯③ 左上 抜歯当日 その1

(2014.2.5 過去ブログからの転載です)

 

先日、おカフェにてお茶をしていた時、「そういえばもう歯は大丈夫なの?」と不意に友人に聞かれて、10月に抜歯した親不知のことを思い出した。
大丈夫も何も忘れていたくらいなので、その後、全く問題はない。
跡地にぽっかり空いた穴もだいぶん塞がってきた。完全に塞がるには半年以上かかるという話もネットで見たけれど、お陰様でもう食べ物が落ちなくなってからは穴が空いていることに支障がないため、完全に塞がらなくても構わないかなくらいの心持ちである。
右の上下の親不知については今後何も悩む必要がなくなったが、左の上下の親不知はいつか抜きたい。何度も痛い思いをするのが嫌なので、右の時と同じように上下同時に抜いてその後しばらくは安静にできる時間があるのが理想なので、時間があるときまた抜こう、とそんな未来を思い描いていました。

そうそう、左の親不知ね…。

そう意識したその後しばらくしてから、左の親不知がおわす位置がなんだか痛くなった。
右の時と同じで、汚れが取りきれなくて腫れて大きくなったところに上の親不知が刺さって余計に腫れて噛むたび痛い、という症状のようだった。
しかし右の時は、痛くて噛めずほぼ口が閉められない状態で歯医者に罹り、「下の親不知を抜かねばならないが口腔外科の先生じゃないと抜けないため、それは後日。とりあえず今は腫れを抑える薬を塗るので、それで口は閉じます」と言われて、ぴしゃっ!っと薬をかけられて一旦終わり。その後は問題なく過ごし「親不知なんてあったっけ」なんて思っていたころに抜いた。
なので今回もその、ぴしゃっ!ってやつを一発やってもらって、また後日抜く手はずにしてもらえればいい。
なんせ仕事が忙しくて起きてる時間はほぼ仕事してるので、親不知を抜くメンタルがない。とにかく食べることしか楽しみがないのに、その楽しみまで奪われて辛いのだ!
仕事に区切りがついた頃、軽い気持ちで歯医者に行った。

が、予想は多いに裏切られた。

まずいつもの、大柄で面白い歯科衛生士さんに診てもらう。
「結構腫れてるね、そして一度噛んでるね、患部が茶色くなってる」
たいして痛くないのだがそれなりに腫れてるらしい。そして腫れた部分に、突き刺さった上の親知らずの歯型がくっきり残っているらしい。
歯医者さんがやってくる。
「これは上の歯が刺さってるのが悪いので、上を削るか抜歯した方がいいですね……抜歯はすぐ終わるので…」
と説明されるも、「まあとりあえず今日は薬をかけてもらって後日抜くんだよな…」と完全に思い込んでいたため、話半分でふんふん聞く。
「それで、抜歯してよいですか?」
と突然聞かれて驚く。
「え?今ですか?」動揺する私。
「い、いや今仕事中でして…すぐ戻らねばならず……」
「上なので痛みもあまりなく、3分くらいで抜けます…」
「えっえっ、いやでも抜歯ってそんな急に…」
動揺していると、歯科衛生士さんが相変わらずの楽しい感じで「あはは! ちょっと急でびっくりしちゃったよね! 上だから仕事もすぐできるよ!」と諭してくれ、「く、薬を塗ってもらうよりそっちの方がいいなら…」ってことで抜歯を決意したのであった。
抜歯するのは別に構わないし、上の親不知の抜歯はたいして痛くないことはわかっていたのだが、心の準備が出来ていないことが怖い。
まあ心の準備があろうとなかろうと痛みに差異はないんだから、それならこういう唐突のタイミングの方が、杞憂のストレスが減って、いいっちゃあいいのだけれど。
私は麻酔の針の痛みが嫌いだ。
麻酔の針を刺す前に、麻酔用の麻酔があるけれど、やっぱりグイッと来るあの針の気持ち悪さが一番嫌だ。

麻酔のための麻酔…
ダブル麻酔…

ダブル麻酔とダブル松井は似ている…
とくだらないことしか考えられないくらい脳の多くの部分が省エネモードに入っていった。

続く